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読者から反響の大きかった、渾身のメールマガジンを無料公開!!

皆さん、こんにちは。
今日ここに掲載するのは、俳優として渡米した後の2009年から配信を続けているメールマガジン『ハリウッドで俳優として生きる! 尾崎英二郎の ”夢” を掴むプロセス 』から、過去に読者の皆さまから好評だった号の全文です。

世界がコロナ禍に突入するなどとは想像もできなかった、2019年の春に執筆したものです。

今、”情報”が瞬時に世界を飛び交う中、僕ができることは、米国の映画・テレビドラマの業界の内側で働く一員として、実体験を伴った撮影の舞台裏や、臨場感のあるエピソードや情報、あるいは、目標に向けて歩んでいくためのヒントや「思い描いたもの」を実際に築いていくプロセスを多くの方と共有していくことだと考えています。

是非、ここからも異国の地の産業での闘いを見守って下さい。

(2020年の今日の掲載にあたり、一部、修正加筆した箇所に関しては、その文章の文末に *** の印をつけてあります)

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◆    ハリウッドで俳優として生きる!
◆       尾崎英二郎の
◆      ”夢” を掴むプロセス

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  発行年月日:2019年 4月1日     

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     ★ 第243号 ★    

       
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皆さん、こんにちは!

この『”夢” を掴むプロセス』と題したメールマガジンのシリーズは、俳優/尾崎英二郎が日本と海外での仕事や勉強の場で、自ら培った体験や知識を皆さんと共有するものです。

決して、ハリウッドの業界を目指す人だけのメッセージではなく、
やりたいことを志す人、進路に迷う人、仕事に活路を見出したい人、全ての方々に何らかの ”生きるヒント” として役に立てて頂きたいものです。

単に映画TV界のことのみをお話しするのではなく、様々な分野の方々に、幅広く愛読して頂くために、柔軟に話題を提供していきます。

◆【理論編】では、日頃から心がけてきた前向きな思考と、自分独自の視点、物事の捉え方・壁の越え方を

◆【体験編】では、実際の自分の俳優としての今日までの戦略と歩み、撮影記録や経験を

◆【情報編】では、具体的にハリウッド映画TV業界で(職業として)俳優が必要とする事物の紹介/解説を

詳細にお話ししていきたいと思います。

もしこのメールマガジンのメッセージが、世間に必要とされ、長く読まれるものになってくれるのであれば、自分の<ライフワーク>として、長年に亘り発信し続けたいと思います。

時には強気で、意表をつく物の見方、生意気な発言があるかもしれません。しかし、それだからこそ独自の道を進んで来れたのだと、ご容赦下さい。

時には、今でも顔が赤くなり、冷や汗の滲み出るような失敗談、
悔いの残るお話も披露します。
そのような話の数々は、どうか ”反面教師” として、皆さんの勝利のために生かして下さい。

”無名” からスタートし、
懸命に国際舞台での道を切り拓いていく、
ひとりの俳優の生き様と心意気が皆さんにとっての癒しや励ましとなってくれることを心から願い、このメールマガジンを執筆しています。

尾崎英二郎

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      ★ 第243回メッセージ ★ 

 「4年ぶりの改訂版:『”正しさ” は、”最高のもてなし” には含まれないのか? 』」

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さて今日は、

長年こだわってきたトピックをもう一度取り上げます。
ちょうど、取り上げるべき時期に差し掛かっていると思うのです。

今日のメルマガは、2015年に綴った、

『”正しさ” は、”最高のもてなし” には含まれないのか? 』

の4年ぶり、改訂版です。

決して感情論ではなく、様々なケースの例とデータと、そして個人個人でできる改善へのヒントを挙げながら、4年前に伝えたメッセージに確かな根拠を加え、大幅加筆しました。

新たな読者の皆さんにも、楽しんでいただけたら幸いです。
非常に大切な意義を含んだトピックです。

実はこの話題、公に取り上げるのはなかなか勇気の要ることです。
というのも、今からここに書く内容は、一部の映画&ドラマファンの方々やメディア関係者(情報発信者側)、教育関係者の方々にとっては、”批判!?” のように受け止められてしまう可能性があるかもしれないからです。 ***

それでも僕は、このことにあえて触れてみることにしました。
自分の『表現したい思い』や『伝えること』の勇気や発想は、
とても大切さなことだと信じています。***

では、始めます。

それは、

外国人男優や女優の名前の、”日本流の表記”…

そう、ズバリ、

「カタカナでの呼び方問題」

です。

皆さんは、普段すっかり呼び慣れている外国人スターたちの名前の発音が本当は全然違う「音」であることが少なくないことをご存知ですか?

今日は、それらの例をいくつかご紹介しつつ、どうしたら「音」の表記の間違いに気づけるか?改善していけるか?という提案をしてみたいと思います。

〈これだけある、原音とは異なるカタカナ表記〉

まず、知られているようでも見過ごされてきた例から挙げていきましょう。

例えば、アカデミー賞も受賞し、すでにベテランの風格さえ備えた男優と女優であるMatthew McConaughey と Viola Davis、そして『アベンジャーズ』の第1&2作を監督した Joss whedon。

皆さんは、彼らの名前をどう呼んでいますか?

マシュー・マコノヒー、ヴィオラ・デイビス、ジョス・ウェドン、
おそらくネット上で調べると、この表記が一般的でしょう。
非常にメジャーな存在になったにも関わらず、間違った読み方・呼び方のままずっと使われている例です。少なくとも日本国内ではオフィシャルの綴り方として広く浸透しています。

ところがです、

マコノヒーは、実はマコノヘイ。
「ヒー」ではなく「ヘイ」。原音ではマカナヘイという感じにも聞こえます。

ヴィオラは、実際彼女が呼ばれている音を聴いてみるとヴァイオラ。「ヴァイ=Vai」なのです。
ビオラという表記でさえもたまに目にしますが、「ビ=Bi」ですから全く違ってしまいます。そういう意味では、苗字のデイビスもデイヴィスとした方が、より近い音になります。

ウェドンは、ウィードンです。「ウェ」と「ウィー」では、我々日本人の耳にさえ、全然違うものに聞こえます。それでも、一般的にはウェドンと書かれ続けています。
監督作『アベンジャーズ』で一躍世界にその名を轟かせた2012年から7年が過ぎても、ウェドン表記を度々目にします。

(※ ちなみにMatthewの「th」の音は日本語には存在しない音なので、”マシュー”と書くしかありませんが、今回議論に挙げたい点は、日本語表記でも十分に改善して原音に近づけることが可能な部分についてです。)

なぜこのお話をわざわざ訴えたいかといえば、それは何より、

個人の「御名前」のことだから。

名前とは、敬意をもって扱われるべきものであり、呼ぶ側のマナーや姿勢が問われるものだからです。

もう少し、いくつか他の例も挙げましょう。

Jennifer Lopez と、Cameron Diaz。そして Chris Evansと、彼が演じているキャプテン・アメリカこと Steve Rogers。

これらの名前はどう呼ばれていますか?

ロペス、ディアス、エヴァンス、ロジャース… ですよね。

通常の表記が長らくこの音だったので、僕自身も疑問に感じることはありませんでしたが、これらも実際の音とは違います。

Lopezも、Diaz も、綴りは「Z」。ということは、もちろん「ズ」なのです。でもなぜか日本では長年にわたって「ス」の音でずっと呼ばれて来ました。そして Evans も、Rogersも、実は「ズ」が本来の音です。

ファンの方々には、「ズ!?ズって、今更言われても…」と違和感を抱かれる人もいらっしゃるでしょう。

でも本当です。

スティーヴ・ロジャーズに関しては、映画『アベンジャーズ:インフィニティ・ウォー』の中でも、グルートが「I am Groot.」と言った時、「I'm Steve Rogers.」とクリス・エヴァンズが自己紹介する
名シーンがあるので聴いてみて下さい。

(※ 英語で語尾にくる「S」の音には、一応基本のルールがあります。works や chips など、「S」の前が”無声音”の場合は「ス」となり、
 一方 begins や dreams や lives や songs のように「S」の直前が”有声音”の時には「ズ」と発音されるのです。
英語の授業ではないのですべてはここに書ききれませんが、
他にも「S」の前に「T」が来ると、cats や wants や cuts は「ツ」となり、
「S」の前が「D」なら kids や reads や diamonds のように「ズ」となる、大体のルールが存在します。)

なぜこれらの「名前の音」の表記を僕が注視するようになったかというと、いくつかのきっかけがあります。

その一つは、アカデミー賞のレッドカーペット生中継のインタビューを務めてきた(2011年〜2019年)ことでした。
ノミネート者たちが正装でやってくる場で、スターや監督たちご本人のお名前を ”間違った発音” で呼ぶわけにはいかないからです。

もし毎年のように、僕が彼らの名前を間違った音のまま呼び続けたら、番組を見ている皆さんはどうお感じになったでしょうか?「Mr.マコノヒー!」「ヴィオラ!」「Ms.ロペス〜!」という
日本流で呼んでいたら?
もしよく調べずに名前を呼び続けていたら、僕はスターご本人たちからも、視聴者の皆さんからも、信頼をおかれない人になっていたかもしれません。
僕は礼節を守るためにも相手に敬意を払うためにも、なるべく正しい音で相手に接しようと、名前に関しては気をつけて調べるようにしたのです。

では、ここで問題提起です、

「正しい音(に近い発音)」は、インタビュアーの役目を務める人たちだけが心がければ良いことでしょうか?

僕はそうではないと思うのです。

これは、誰もが考えるべきこと。

大きくいえば、教育の現場で意思統一や基準を設け、ある程度改善した方がいい、世の中全体に言えることだと思うのです。

例えば、Lopez、Diaz、Evans、Rogers がなぜ「ス」で書かれるのか?
厳密な理由や起源はわかりません。Rogers もコミックスの歴史的なキャラクターですから、すでに何十年も前に日本でそう表記されてしまったのでしょう。

でも、その他の近代の名前までも、なぜ「ス」なのでしょう?
一つの仮説ですが、これは日本人が濁音を好まない傾向があるからではないか?と思うのです。
「ず」より「す」の音の方が、耳触りがいい、響きがいい、ということ。
澄んだ音の方が親しみが抱きやすい、という音感的な理由です。
おそらく、マーケティング的にもその方が好まれるだろうと判断された… そう考えるとしっくりきます。
でもそれは、あくまでも日本人の耳に合う基準です。
その基準で、「名前の本来の音」を違った音に置き換えてもいいものでしょうか。

しかも、ビートルズ、ストーンズ、アベンジャーズといった名称は、「ス」ではなく、正しく「ズ」にしています。つまり、濁音を使う・使わないを判断する際の確固とした「基準・ルール」が無いのです。

不思議なのは、逆に濁音にしている「音」の間違いもあること。
今年、アカデミー賞の主演女優賞の筆頭候補だった Glenn Close の名前は、本当は「グレン・クロース」。
しかし彼女の苗字は、80年代、90年代、2000年代に入ってもずっと「クローズ」と書かれ、呼ばれてきました。
クロースとクローズでは、綴りは同じでも、「近い」と「閉まる」のように発音で言葉の意味も全く変わります。こうなると、なぜクローズとしたのか、理由はもう謎です(苦笑)。

前述のデイビスもそうです。「V」の音に関して表記の基準・ルールがありません。

なので Steven Spielberg であれば、スティーブンとスティーヴンと書く場合、両方が出てきてしまう。Steve Rogers もスティーブと呼ぶ人もいれば、スティーヴと呼ぶ人もいることになります。
しかし、「ブ=Bu」の音ですから、仮にこの人たちの名前を「Bu」の音で大きな声で呼んだとしたら、

「スティ〜〜〜ブ〜〜〜〜〜!!!」

となりますよね。英語的には「Steeee Boooooo!」と響くわけです。もしこれがレッドカーペットや成田空港の到着ゲートなら「スティ〜〜ブ〜〜〜!!!」と何十人からもの声が響くことになります。「Boo」という音は、ご存知の通りブーイングを
意味しますから、あまり心地の良い感じの音ではないかもしれません(まぁそれは冗談ですが、「なんで皆、VじゃなくてBで呼ぶのかなぁ?」くらいには呼ばれる本人は感じることでしょう)。

でもこうした”耳障り”や”音違い”について、僕らは日頃深く考えることはありません。
海に囲まれた日本では、基本的には英語圏の文化の人々と地続きでは関わって来なかったので、外国人に伝わるかどうかを意識せずとも生活できた歴史的な理由があるからだと思います。
これらの表記に関してしっかりとした根拠や見解が築かれて来なかったのでしょう。
社会全体が外国人の名前や海外の名称、意味合いなどにルーズになってしまっているように思えます。

でも、2019年の今、僕らは外国の著名人の名前の音に無頓着でいてもいいものでしょうか。
著名人だけではありません。日本にいる外国人の皆さんに対して、あるいは来年オリンピックを楽しみに日本を訪問する外国人に対して、僕らは、

本気で自分たちが抱いている、

「おもてなし」

の姿勢を問うべきなのではないでしょうか。

〈間違えられる側に立ってみる〉

僕の名前 ”英二郎/Eijiro” はアメリカの地のオーディションで、度々間違われます。
「アイジェロー!?」とか、「エイヒロー?」と、呼ばれる経験をします。

初めて、

「アイ…ヒロー!?」

と呼ばれた時には、まさか自分のことだとは思いませんでした。

なぜ、こういうことが起きるのかというとそれは、

Ei と、母音が2つ並ぶと、”アインシュタイン” と同じように、”アイ” と英語では発音されるからで、
jiro が ”ヒロー” になるのは、ロサンゼルスにはメキシコ系の人が多く、たとえばJose は、”ホセ” のように、「J」を 「H」の音で発音するケースに社会が慣れているからです。

オーディションの場では、アイヒロー!!と間違えて呼ばれても構いません。
キャスティング担当の人たちには初対面の人が多いですから。発音をミスすることは何ら仕方のないことです。でも、ほとんどの人たちが大抵は、

「アイヒロ?アイジロ? 今ので正しい?どう発音するの?ちゃんと覚えたいからおしえて?」

と、演技を見る前に、聞き返して確認し、呼び直してくれます。
なので、お互い笑顔になり、許してしまいます♪

でも、もしこれがオフィシャルの演技賞や映画賞や、記者会見の場だったらどうでしょう?

「アイヒロ、オゼィキ!!」

と僕が呼ばれているのをもし皆さんが、メディアを通じて目にしたら、いくらなんでも「え!!!?」となりませんか?

あるいは、「Z」は濁音だから、耳障りの良い「S」に変えられて、

「アイヒロ、オサッキ〜!!!」

と呼ばれたら、ちゃんと調べておいてよぉ〜と嘆きたくなるでしょう。
僕みたいな、米国では新参者であればまだいいですよ(我慢しますよ…笑)、

でもアカデミー賞の場に来るような、地位の確立された要人の場合、許されて良いこととそうでないことのガイドラインはあってもよいと思うのです。

Rachel Weisz や、Chiwetel Ejiofor も間違われて呼ばれている人たちも、本当はワイズではなく「ヴァイス」に近い音であり、キウェテルではなく「チウェテル(もしくはチュウェテル)」という音ですから、「キ」で呼ぶのは避けてあげるべきです。

実は恥ずかしながら、Weisz がほぼ「ヴァイス」と発音するという事実を僕自身も近年まで知りませんでした。でも、インタビューで

「アメリカの人たちは、ワイズって間違って呼ぶのよねぇ…」

とレイチェル自身がポロっと皮肉を言っていたのを聴いて、あぁやはり間違って呼ばれるのは嫌なんだな、と知ったのです。

今年、「ROMA/ローマ」で時の人となった、Yalitza Aparicio は、何の疑いもなく ”ヤリッツァ” だと思い込んでいました。ところが偶然、オスカーのレッドカーペットへ向かう通路で、隣に『ジミー・キメル LIVE!』でお馴染みのメキシコ人のギエルモ(レッドカーペットでスターたちに毎年テキーラを飲ませることでも人気)が歩いていて、僕は彼のファンなので話しかけたんです、
「今年はメキシコは盛り上がっているねぇ!」と。
この時、ふと Yalitza の名前のことが頭をかすめました。「ヤリッツァ」でいいのかな?と。
そこでギエルモに聞いてみたのです。「彼女の名前、どう発音するの?」と。すると、

「ジャリッツァ、だよ。」

と言うのです。「はっ!?」と目が点になりました。
何度か聞き返しましたが、ジャリッツァが正しいそうで、僕は自身のない音で呼んで失礼があってはいけないので、レッドカーペットで彼女を捕まえた時、名前で呼びかけることを避けてインタビューしました。

もし仮に、

日本を代表するような女優さん、例えば吉永小百合さんが、海外の映画祭やインタビューの公式の場で

「セイユーリー、セイユーリー」

と呼ばれたら、”サユリ”くらい調べてよ!?と日本人なら当然感じるでしょう。
(サトウがセイトーと呼ばれることくらいは頻繁にあります)

倍賞千恵子さんが、チエコ(Chieko)でなく

「キエコ〜!キエコ〜!」

と呼ばれたとしたら、もはや失礼なレベルだと感じませんか。

『千と千尋の神隠し』が、アナウンスされる時、

「セン、ト、キヒロ、ノ…」

と言われたら、おい!!!っと言いたくもなるでしょう。

渡辺謙さんが、トニー賞で

「ケン、ワタナビー」と呼ばれた時には、

ワタナ「ベ」って、ちゃんと覚えて呼んでくれよ、賞のプレゼンターなら!!と思ったものです。

ならば、逆も同じです。

僕らも、極力(可能な限りでいいので)、外国の方々の御名前を正しく呼んであげたほうがやはり良いと思うのです。

〈中には、判断が難しいケースもある〉

例外的に、日本では発音や表記がやや難しいケースもあります。
(外国の個人名の表記を、一律ルール化することはもちろん完全には無理でしょう。)

それは、例えばハリウッドのスターになった人でも、その親や本人の出身国がヨーロッパだったりした時には出身国の読み方と英語の読み方と2つのケースが出てくるからです。

例えば Alicia Vikander はスウェーデン出身の女優です。『リリーのすべて』でオスカーを受賞した時、米国ではヴィキャンダーと彼女を呼んでいました。スウェーデンの読みではヴィキャンデル。
インタビューの中で、本人は米国読みも了承していました。本人がどちらもOKとしているのであればそれでよいでしょう。

Mads Mikkelsen はデンマークの出身。実は「D」は発音せず、本当の読み方は「マス」なのだそうです。
これは自己紹介のクリップなどを見れば判ります。ご本人もマスと発音しています。但し、彼も英語圏での呼ばれ方はまんざらでもないようです。
ただ、普通に考えれば「ds」ですから英語読みをカタカナ表記にしても「マッズ」のはずですが、
日本の表記では「(語尾が ts じゃないのに )マッツ」。でも、熱烈なファンの皆さんは、もしご本人を直接呼ぶ機会があれば本来の音に近づけてあげれば一層喜ばれるはずです。

一方、米国でも多くの人が呼び方に手こずる、アイルランド出身の女優 Saoirse Ronan は、自分の名前がいろんな形でとんでもない発音をされることに呆れています。彼女の名前の音は「サー・シャ(もしくはセァー・シャっぽい)」で、”Sur” や ”(Yes, sir.)の sir” に近いのです。「シ=Shi」という音ではありません。
シアーシャでは3音節(シ・アー・シャ)に増えてしまっているので近い発音とは言えません。***

それから、テキサス生まれでコロラド育ちという生粋の米国出身の女優 Melissa Benoist は本人もそして家族も、「ベノイスト」と「T」まで発音しているとインビューで答えています。
先祖まで移民史を辿れば、フランス語の影響はあるようですが、彼女を「ブノワ」と呼んでしまうのは完全な日本流だと言っていいでしょう。

メリッサは、デイミアン・チャゼルの出世作『セッション』で脚光を浴びた女優です。
比較的に新しい人材の名前というのは、なかなかメディアに最初は出て来ないので正しい発音を知ることは難しい場合があります。「ブノワ」とフランス読みにすれば響きが可愛いし…と判断した理由もわからないではありません。
でもその後に、一般的に広く人気を博したご存知『スーパーガール』で主役を演じてからは彼女の名前は度々メディアに出ているのですから、修正できるはずなのです。出身地の米国で、彼女を
「メリッサ・ブノワ」と呼ぶメディアはありません。

正しい名前の発音などを知る手がかりとして、有効なのは、YouTubeなどで ”スターの名前の綴り” と ”発音”
(例:”Saoirse Ronan” ”Pronunciation”)で検索する方法をお勧めします。
米国発音や、英国発音など、様々なアカウントで解説動画がアップされています。

僕がよく調べる方法は、人気トーク番組や、映画祭などの受賞シーンを観てみる方法です。
本人を目の前に司会者が名前を呼んだりする時に間違えているケースは少ないですし、トーク番組では、司会者も読み方がわからない場合は、ちゃんと本人に正しく発音させて確認している様子が観れたりします。本人自身の発音ほど、確かな根拠はありません。

下記の、こんな動画なら、観ているだけでも楽しいので、”勉強”だと気構える必要もありません。

参考:『A Pronunciation Guide for Saoirse Ronan & Melissa Benoist』 
https://www.youtube.com/watch?v=oifRCyBnPHU

特に、”推し”のスターがいる皆さんは、いろいろなクリップを観て確認してみるといいでしょう。

上記に挙げた表記の間違いは、氷山の一角です。

Taron Egerton はエガートンではなく、エジャトンまたはエジャートン、***
Halle Berry はハルではなくハリー、
Uma Thurman はユマではなくウマ、
Amanda Seyfried はセイフライドではなく、サイフレッドまたはサイフリッド…***

(サイフレッドとサイフリードでご家族の姉妹でも意見が分かれているそうですが、”セイフライド” は間違ったケースとして下記のインタビューでも本人が語っています)***

参考:『Amanda Seyfried Exclusive: My Name's Not 'Siegfried'』***
https://www.youtube.com/watch?v=FGIUaI1jkMo

こういった例は多々あります。

もし、お気に入りのスターが来日した際には、正しい音(正式名)で呼んであげれば、

「おお、この人ちゃんとわかってくれてる!調べてくれてる!」

と、喜ばれるはずですよ。

〈なぜ、間違った表記が続いてしまうのか!?〉

日本では、中学高校の6年間で英語を皆が学び、社会人になっても、英会話のクラスに通ったりすることが人気だったりします。
英語教育を低学年の教育に導入する案や、会社で英語を社内の公用語にしては?などという案もよく耳にします。

ボーダーレスで「国際化」が常に問われ、社会が英語教育を義務化して以来、もう何十年と時間が経っていますが、誰も、「ローマ字」と「カタカナ」という日本独自のシステムが、英語の《音》の聴き取りと発音の向上、もっと広く恐れずに言えば外国語でのコミュニケーションそのものの妨げになってしまっている結果・状況を疑問視しません。
言語教育の意識や根幹は、2019年の今と、僕が中学1年生だった30年以上前とで、実はあまり変わっていないのではないか…とさえ思えます。

誤解の無いように書きますが、僕は「ローマ字」と「カタカナ」というシステムが必要無い、と言っているのではありません。非常に便利な表記であり、これはこれで”文化”でもあります。
でも、特に名前などの表記に関しては、一定の基準やルールがあってもよいと思うのです。
「カタカナ」という表記の読みは、完全な ”日本語” 発音であって、英語の音声には似ても似つかないことが非常に多く、驚くほど会話時には伝わりません。他言語学習の壁になり得るということは認識しておいた方がいいのです。

そして、システム以上に大きな問題は、

「間違っているらしい… 」となんとなく判ってはいるのに、皆んなが、社会が使っている表記だから、もうその名前で普及しているから、変えようとしない、改善を試みない、その姿勢だと僕は思います。
でも、誰かが声にしなければ、僕らは外国の俳優たちを、監督を、メダリストの選手を、ミュージシャンを全然違う音のまま呼び続けてしまうことがあり、それが大失態になる場合だってあり得ます。

なので、(「俳優の尾崎が、偉そうに日本のカタカナ表記を批判かよ!」と読者の皆さんに思われたとしても)僕は一石を投じてみようと思ったのです。

〈日本は礼節を重んじるお国柄のはず!?〉

日本には、

《名》

という財産を非常に大切にし、重んじる文化があります。

かつては武士たちも、敵と向き合い、戦う前には、

「名を名乗れ!!!」

「やあ、やあ、我こそは…」

と名乗り、確認し合いました。それが最低限の(戦う相手にさえも示した)礼法です。

結婚披露宴や各種式典のご来賓の肩書きや、お名前を間違って書いたり、読み上げたりしたら、大変に失礼にあたります。何度か読み間違えたら、司会者失格の烙印を押されるでしょう。式典どころか、年賀状でさえ、宛名が間違っていれば

「あれ、これ字が違ってるよ…(この字じゃないのに)」

と思うはず。ビジネスの取引先へのメールで、宛名の字を間違えれば、

「失礼しました!打ち間違えました」

とお詫びします。ツイッターなどの場ですら、名前を間違えればツイートし直したりしているはずです。
それが一般的な常識であり、社会のルールというものです。
自分の名前の漢字がもし公に間違えて書かれていたら、多少なりともショックなはずです。

「敬意を感じないな…」

と。

日本人は、《名》に関して、非常に丁寧な民族だと僕は思っています。

しかし…

それは、ひょっとしたら内輪だけで培われた「しきたり・慣習」なのかもしれません。

対外的には??海を越えた、他の民族に対してはどうなのでしょう??
他者の言語や、文化や、名称に対し、正しく敬意を払っているでしょうか?
名前を、間違えて書かれたり、覚えられたり、呼ばれたりしたら、気分が良くないのは、どこの国でも同じです。

名前というのは、固有の財産です。

それを日本側の何らかの都合で、『音』を間違ったまま呼び続けてもいいものでしょうか?
それで、誠意が本当に伝わるのか?深いコミュニケーションが始まるのか?
僕は、本質的で、とても大切な問題だと思うのです。

最初は巧く発音ができなくたって全然いいんです。

英二郎が「アイヒロー」になってしまうのは仕方がありません。
でも前述したように、米国のキャスティング・ディレクターたちはすぐにその場で正しい音に近づけようと努力してくれます。それは嬉しく、心温まる瞬間です。
(意外にもオーディションの場で、僕はその瞬間が好きです。なぜかと言うと、キャスティングの人の優しい人柄が判るので、緊張がほぐれるから。その会話中にちょっとした理解の「和」が生まれるからです。)

初めは間違ったって、
「修正して、呼び直す、書き直す、勇気」を持っていればいいんですよ。

そういう、只々普通の意識、普通のモラルを持つことを忘れなければ…。

日本は、まもなくやってくる2020年に、世界の方々と共に、オリンピックを開催しようとしています。
仮にオリンピックが無くとも、日頃から日本には多くの外国人観光客が訪れ、外国人労働者や実習生が働き、留学生たちがアルバイトをしながら勉強し、生活しています。
海外の国々に、他の民族の人々に、僕らの国はしっかりと敬意を抱きながら、接しているでしょうか?

『おもてなし』

の、本当の意味と意義とは何なのか?

そのことを今こそ熟考する時ではないでしょうか。
名前を正しく呼んであげる、読んであげる、書く。
まずはそこから、僕らは始めてみてはどうでしょう。

日本は、グループの志向で動く、連帯の強い国柄です。(その部分は、素晴らしい一面でもあります)
しかし一方で、時に、正しいことを述べても、個人や少数の見方が ”異端” とされ、「正論」とは見なされず、間違ったまま、修正や見直しがないままそのやり方で、ずっと進んでしまうことは少なくありません。

「他の言語や異文化に関する教育」が、30年経っても、根本的に変われないことは、本当は”変われない”のではなく、”変わらない” ことを多くの人が選択してしまっているのではないでしょうか。
そういう根本が、来日した、VIPでもあるスターや巨匠のような来賓の名を間違った音で呼び続けていることに、色濃く映し出されている… そう思えて仕方がないのです。

今回のメールマガジンは批判でもなく、文句でもなく、

《改善》の提案です。

カタカナ表記をなくした方がいい、と言っているのではありません。
ウィキペディアのデータをどんどん書き直そう!と言っているのでもありません。

でも、映画ファンや海外ドラマのファンの我々は、少しずつでも変えられると思うのです。
もっと敬意をもって、他者の名や言語を扱い、もっといいコミュニケーションができると思うんです。

国語や英語のテストで高得点を獲得することも重要ですが、
もっと大事なことをまず知ろうとする、お互いの知識を共有して、他者と教え合う、そして見識を皆で深めていく。
僕らは、日本をもっともっと良い国にできると思うのです。
「敬意」とは、一方通行で求めることはできません。

「敬意」を抱かれたいなら、まず「敬意」を表すことです。

今の時代は30年前とは違います。
日本に居ても、海外の原語の名称を、とっても手軽にネイティヴの音声でチェックすることができます。
その気になれば、修正は決して難しいことなんかではありません。

円滑なコミュニケーションは、相手の御名前を正しく呼ぶ・書くことから始まります。
社会のあり方を一気に変えるのは大変ですが、映画やドラマファンの力で改革を起こすことはできます。

好きな相手の名前なら、
そうしてみる価値はきっとありますよ!!

◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

   【質問/問い合わせ先】

著者:尾崎英二郎への、直接のご質問、お問い合わせは、下記のメールアドレスにお送り下さい。

皆さんから頂いた感想、ご質問は、可能な限りメールマガジン内に掲載の上、お答えさせて頂きます。

※ 他人には知られたくない、個人的な質問も歓迎します。

  〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇(←メールマガジン内に掲載)

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発行人氏名: 尾崎英二郎

発信地:   米国カリフォルニア州
       ロサンゼルス

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ツイッター:  @EijiroOzaki
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いかがでしたか。

異国の産業に挑んでから、ずっと書き続けている、
メールマガジン【ハリウッドで俳優として生きる! ”夢” を掴むプロセス】は、2014年に出版された拙著『思いを現実にする力』の土台にもなった手記や記録です。

ここに公開した、

『”正しさ” は、”最高のもてなし” には含まれないのか? 』

に共鳴して下さった方、あるいはご意見のある方は、是非感想を僕のツイッターアカウントや、当サイトの掲示板まで感想をお気軽にお寄せ下さい。読み手の皆さんがいて下さることが、僕にとっては大きな励みと刺激になっています。

アメリカの地からお届けしているメルマガや著書の拙文が、皆さんにとっての読み物の1つ、エンターテインメントの1つとなり、

と同時に、

受け取って下さる方々の「未来のどこかの大切な局面」で、少しでもお役に立つことを、

心から願っています。

カリフォルニア州ロサンゼルスより

尾崎英二郎


2020年「まぐまぐ大賞」【コラム部門 第10位】入賞




本メールマガジン『”夢”を掴むプロセス』は、読者の皆さまからの支持と応援の声のおかげで、2020年の「まぐまぐ大賞」【コラム部門 第10位】に入賞いたしました。

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